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石炭の時代展(1)江戸時代の炭鉱の様子を伝える貴重な絵馬

現在開催中の「石炭の時代展」(6月19日まで)の美術館展示物について、このブログでいくつか紹介していきたいと思います。
展覧会では4つのテーマで資料、作品を展示しています。一つ目のテーマは「炭鉱の歴史」。筑豊の炭鉱の歴史を年表でたどることができ、貴重な資料から昔の炭鉱の様子を視覚的に捉えることが出来ます。

はじめにご紹介するのは150名を超える人物が描かれ、江戸時代の炭鉱の様子を伝える貴重な絵馬です。
「大崎八幡社 炭鉱絵馬写し画」
伊勢光雲(模写) 
1966(昭和41)年 
紙本着色 
177.6×192.8cm
個人蔵・鞍手町歴史民俗博物館寄託
 
記録文学作家の上野英信(1923-1987)氏の呼びかけによって模写・復元された江戸時代の絵馬です。
元の絵馬は、1865(慶応元)年、大崎八幡社(佐賀県武雄市北方町)に、大崎村大副山炭鉱の繁栄と、そこで働く人々の安全を願って奉納されたもので、炭鉱の元請・稗田麟蔵らが、林石という旅の絵師に描かせました。大副山の麓にひろがる炭鉱町の当時の様子が克明に描き出されています。
上野英信氏が絵馬の模写による保存を呼び掛けたアピール文を読むと、彼のこの絵馬への思いが伝わってきます。一部をご紹介します。

炭鉱の古絵図が絶無というわけではありません。しかし、この大崎八幡宮の絵馬ほどすぐれた作品を私は知りません。畳三枚敷きほどの大きさをもつこの絵馬は、すでに芸術性そのものによって私たちを魅了します。しかもそれは架空の美の世界ではなく、一世紀昔の北方炭鉱の現実の世界です。巨視的な展望によって描き出された全体と細部は私たちの苦悶にみちた生活と労働の、おそるべき真実によって、みる者を圧倒せずにはおきません。

模写を手がけたのは伊勢光雲氏。制作時間は5ヶ月。絵の具の剥落や、度重なる補修などで、原画が予想以上にダメージを受けており、その復元には並々ならぬ努力を要したといいます。

炭鉱絵馬について(武雄市ポータルサイトより)
http://www.city.takeo.lg.jp/kyouiku/bunkazai/pages/bunkazai/bunkazai-439.htm
by nogataartmuseum | 2016-04-27 11:03 | 企画展

直方市美術館


by nogataartmuseum
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