石炭の時代展(4)中央から訪れた画家の視点

2つ目の展示テーマ「炭鉱の現場」のゾーンに展示している作品についていくつかご紹介していきます。
田川市石炭・歴史博物館さんからお借りした「炭坑漫画」は大変見ごたえのある作品です。

「炭坑漫画」
斎藤五百枝
1919(大正8)年
ペン、鉛筆、水彩・紙
171.4×373.4cm(屏風)
田川市石炭・歴史博物館蔵

「月が出た出た月が出た、ヨイヨイ」のフレーズで知られる炭坑節は、かつて三井田川鉱業所があった福岡県田川市が発祥の地だといいます。歌詞の中に歌われている煙突は「二本煙突」と呼ばれ、今もなお町のシンボルとして親しまれています。
石炭産業の盛んな頃は、三井職員らの招きで、中央から多くの文化人が田川を訪れました。幹部職員の社宅があった一角に、かつて「百円坂倶楽部」という来客用の施設があり、文化人らとの社交の場として活用されていたそうです。
「炭坑漫画」の作者、斎藤(さいとう)五百枝(いおえ)氏(1881-1966)は、東京美術学校を卒業後、雑誌「少年倶楽部」の表紙絵を描くなど、一般的には挿絵画家として知られています。彼が田川を訪れたのは1919(大正8)年で、滞在中に見聞したことを文と絵にし、坑内外の様子を「炭坑漫画」21点に、日田や英彦山などを訪ねた折の出来事を「気まぐれ漫画」21点としてまとめました。例えば「炭坑漫画」の中のひとつ、“片盤芸術”には、坑内の安全灯の光に照らされる男女の坑夫が描かれ、その鍛え上げられた肉体や、女坑夫の美しさをロダンやミケランジェロといった西洋の芸術家の名をあげて語っています。中央から訪れた一画家の目に映った炭鉱のイメージを知ることができます。これらは六曲一双の屏風に仕立てられ、百円坂倶楽部の玄関に飾られていました。
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by nogataartmuseum | 2016-05-01 13:15 | 企画展